「入れ歯は時間がかかる」「何度も調整が必要」「合わないのは仕方ない」
このようなイメージをお持ちの方は少なくありません。
近年、歯科医療のデジタル化が進む中で、
3Dプリント義歯という新しい選択肢が登場し、
従来の義歯治療の考え方そのものが変わりつつあります。
本コラムでは、
- 3Dプリント義歯とは何か
- 従来の義歯との違い
- どんなメリットがあるのか
- どんな点に注意が必要か
- どんな方に向いているのか
を、歯科医師の立場から分かりやすく解説します。
義歯(入れ歯)治療のこれまで
従来の義歯治療では、
- 型取り(印象採得)
- 石膏模型の作製
- 技工所での手作業による製作
- 試適・調整
という工程が一般的でした。
この方法は長年使われてきた確立された技術ですが、
- 型取り時の不快感
- 技工士の手作業によるバラつき
- 破損・変形のリスク
- 再製作に時間がかかる
といった課題もありました。
こうした問題を解決する技術として注目されているのが
3Dプリント義歯です。
3Dプリント義歯とは
3Dプリント義歯とは、
口腔内スキャナやデジタル印象で取得したデータをもとに、3Dプリンターで義歯を製作する方法です。
従来の「手作業中心」の工程に対し、
- デジタルデータで設計
- コンピュータ上で形態をコントロール
- レジンを積層して精密に造形
という、再現性の高いデジタルワークフローが特徴です。
3Dプリント義歯の製作の流れ
一般的な3Dプリント義歯の流れは以下の通りです。
- 口腔内スキャンまたはデジタル印象
従来の粘土状の型取りを使わず、デジタルで歯ぐきや噛み合わせを記録します。 - CADによる義歯設計
人工歯の位置、歯列、床の厚みなどを画面上で精密に設計します。 - 3Dプリント
医療用レジンを用いて、義歯床や人工歯を高精度に造形します。 - 後処理・調整
研磨や最終調整を行い、口腔内で適合を確認します。
従来義歯と3Dプリント義歯の違い
① 精度と再現性
3Dプリント義歯は、
デジタルデータをもとに製作されるため、再現性が非常に高いのが特徴です。
- 同じデータから同じ義歯を再製作できる
- 技工士の経験差によるブレが少ない
これは、長期使用や再製作時に大きなメリットとなります。
② 治療期間の短縮
デジタル工程により、
- 技工工程が効率化される
- 再製作が迅速
となり、
通院回数や完成までの期間を短縮できる可能性があります。
③ データ保存という新しい価値
3Dプリント義歯では、
- 義歯の設計データ
- 噛み合わせ情報
がデジタルデータとして保存されます。
万が一、
- 義歯を紛失した
- 破損した
場合でも、
同じ設計で再製作が可能という点は、従来義歯にはない大きな利点です。
3Dプリント義歯のメリット
- 型取りの不快感が少ない
- 高い適合精度
- 再製作がしやすい
- デジタルによる一貫管理
- 技工工程の効率化
特に、高齢の方や嘔吐反射が強い方にとって、
型取りが楽になる点は大きなメリットです。
3Dプリント義歯の注意点・限界
一方で、3Dプリント義歯は万能ではありません。
① 材料の制約
現時点では、
- 金属床義歯
- 特殊な構造義歯
など、
すべての義歯を3Dプリントだけで完結できるわけではありません。
② 噛み合わせ・調整は依然として重要
どれだけ精密なデジタル設計でも、
- 噛み合わせの微調整
- 実際の使用感
は、口腔内での確認と歯科医師の調整が不可欠です。
3Dプリント=調整不要、というわけではありません。
③ 医院の技術力に依存する
3Dプリント義歯の質は、
- 診断力
- 設計力
- デジタル技術への理解
によって大きく左右されます。
機械が作る義歯ではなく、歯科医師と技工士がデジタルで作り上げる義歯
という理解が重要です。
3Dプリント義歯はどんな人に向いている?
- 型取りが苦手な方
- 義歯の再製作リスクに備えたい方
- 通院回数を減らしたい方
- デジタル管理された義歯を希望する方
一方で、
- 非常に高い咬合力がかかる症例
- 金属床義歯が適応となるケース
では、
従来法の方が適する場合もあります。
デジタル義歯時代に大切なこと
3Dプリント義歯は、
義歯治療を効率化・高精度化する非常に優れた技術です。
しかし、
義歯治療の本質は、
デジタルかアナログかではなく、
「正確な診断」と「適切な設計」
であることは変わりません。
デジタル技術は、
歯科医師の判断と経験を支える「道具」であり、
それ自体が治療の質を保証するものではないのです。
まとめ|3Dプリント義歯は「選択肢を広げる技術」
3Dプリント義歯は、
- 義歯治療の精度向上
- 患者さんの負担軽減
- 再製作の安心感
を実現する、
これからの義歯治療を支える重要な選択肢です。
一方で、
すべての症例に適応できるわけではなく、
患者さん一人ひとりに合わせた判断が必要です。
「自分にはどんな義歯が合うのか」
「3Dプリント義歯は適応になるのか」
気になる方は、
ぜひ一度、歯科医院で相談してみてください。
正しい情報と丁寧な診断が、
快適な入れ歯生活への第一歩になります。
当院でも3dプリント義歯を作成可能です。
ぜひ一度ご相談ください。ご予約はこちらから!