せと・林歯科矯正歯科

インプラント vs 金属床総義歯|総入れ歯治療で後悔しないために知っておくべき本当の違い

歯をすべて失った場合、治療法として大きな選択肢になるのが
インプラント治療と**総義歯(総入れ歯)**です。

近年はインプラント治療の認知度が高まり、
「入れ歯よりインプラントの方が優れている」
というイメージを持つ方も少なくありません。

しかし、歯科医師の立場から見ると、
すべての患者さんにインプラントが最適とは限らず
一方で金属床総義歯は非常に完成度の高い治療法として、今なお重要な選択肢です。

本コラムでは、
インプラントと金属床総義歯を
噛む力・装着感・安全性・費用・長期的視点から比較し、
どのような方にどちらが向いているのかを分かりやすく解説します。


治療の考え方が根本的に違う

まず理解しておきたいのは、
**インプラントと金属床総義歯は「目的は同じでも、考え方がまったく異なる治療」**だという点です。

インプラント治療とは

インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に歯を作る治療です。
いわば歯を骨から再建する治療法であり、固定式で取り外しの必要がありません。

  • 天然歯に近い構造
  • 高い咬合力
  • 見た目が自然

といった点が大きなメリットです。

金属床総義歯とは

金属床総義歯は、歯をすべて失った顎に装着する取り外し式の入れ歯です。
床(歯ぐきに接する部分)を金属で作ることで、従来の保険の入れ歯よりも性能を高めています。

  • 外科処置を行わない
  • 身体への負担が少ない
  • 高齢者にも適応しやすい

という特徴があります。


噛む力の違いを正しく理解する

インプラントの噛む力

インプラントは顎骨に直接固定されるため、
噛む力は天然歯の80〜90%程度まで回復可能とされています。

硬いものをしっかり噛めるため、
「食事のストレスが少ない」という点では非常に優れています。

ただし、天然歯に存在する「歯根膜」がないため、
噛みすぎによるダメージを感じにくいという側面もあります。

金属床総義歯の噛む力

総義歯は歯ぐきで力を支えるため、
噛む力そのものはインプラントより小さくなります。

しかし、金属床総義歯は

  • 床が薄く
  • 変形しにくく
  • 力を均等に分散できる

という特徴があり、
**「入れ歯としては非常によく噛める」**と感じる方が多いのが実際です。


装着感・違和感の比較

インプラントの装着感

インプラントは固定式であるため、

  • 取り外し不要
  • 口の中で動かない
  • 異物感が少ない

という点で優れています。
特に違和感を最小限にしたい方には大きな魅力です。

金属床総義歯の装着感

「入れ歯は違和感が強い」という印象は、
実はレジン床義歯によるものであることが多いです。

金属床総義歯は、

  • 非常に薄く作れる
  • 舌の動きを邪魔しにくい
  • 発音がしやすい

といった特徴があり、
保険の入れ歯から変更して「こんなに違うとは思わなかった」と言われることも珍しくありません。


食事の楽しさ・温度感覚

インプラントの場合

インプラントはしっかり噛める反面、
歯根膜がないため温度や食感の繊細さは天然歯と異なります

実用上の問題はありませんが、
感覚の違いを感じる方もいます。

金属床総義歯の場合

金属床総義歯の大きなメリットの一つが熱伝導性です。

  • 温かい料理
  • 冷たい飲み物

の温度が歯ぐきに伝わりやすく、
「食事を楽しめるようになった」と感じる方が多い治療法です。


身体的負担と安全性

インプラントの注意点

インプラントは外科処置を伴うため、

  • 糖尿病
  • 心疾患
  • 骨粗鬆症
  • 高齢

などの場合、慎重な診断が必要です。

また、治療後も適切なメインテナンスを行わないと
インプラント周囲炎というトラブルが起こる可能性があります。

金属床総義歯の安全性

金属床総義歯は、

  • 外科処置不要
  • 全身状態の影響を受けにくい
  • 治療リスクが低い

という点で、非常に安全性の高い治療法です。
高齢の方や持病のある方でも選択しやすいのが特徴です。


費用と治療期間の違い

インプラント

  • 費用:高額になりやすい
  • 治療期間:数か月〜1年以上

骨造成などが必要な場合、さらに期間と費用がかかります。

金属床総義歯

  • 費用:自費診療だが比較的抑えられる
  • 治療期間:比較的短い

身体的・経済的負担を抑えたい方には現実的な選択肢です。


どちらが「良い」ではなく「どちらが合うか」

歯科治療において最も大切なのは、
治療法の優劣ではなく、患者さんとの相性です。

  • 年齢
  • 全身状態
  • 顎の骨の状態
  • 生活スタイル
  • 価値観

これらを総合的に考えた上で、
自分に合った治療を選ぶことが後悔しない最大のポイントです。


金属床総義歯が向いている方

  • 外科手術を避けたい方
  • 高齢で身体への負担を抑えたい方
  • 食事の温度や感覚を大切にしたい方
  • 入れ歯の違和感に悩んできた方

インプラントが向いている方

  • 固定式の歯を強く希望する方
  • 十分な骨量がある方
  • 全身状態に問題がない方
  • メインテナンスを継続できる方

まとめ|最適な治療は一人ひとり違う

インプラントも金属床総義歯も、
正しく選択され、適切に設計されれば非常に優れた治療法です。

「新しいから良い」
「高いから安心」

ではなく、
自分の身体と人生に合った治療を選ぶことが何より大切です。

総入れ歯治療で迷っている方は、
ぜひ一度、両方の選択肢について十分な説明を受け、
納得した上で治療を選んでください。

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